臼杵の歴史・文化・自然の魅力を巡る自転車旅

はじめに
今回ご紹介するのは、大分県臼杵市。
臼杵城跡から城下町をゆっくり巡り、のどかな田園風景の広がる道や川のせせらぎを楽しみながら自転車で30分ほど走ると、国宝・臼杵石仏に到着します。グルメやカフェを堪能し、さらに「おんせん県おおいた」が誇る温泉で癒されても日帰り可能。自転車の速度だからこそ味わえる風景や出会いが詰まった臼杵は、自転車旅にぴったりのサイズ感です。
400年以上受け継がれる独自の食文化を堪能し、洗練された美しい臼杵焼に触れ、城下町や国宝・臼杵石仏を巡りながら歴史に思いを馳せる。観光とグルメを楽しむだけでなく、サイクリングを加えることで、旅に知的好奇心や発見の喜びが生まれます。そんな新しい旅のスタイルが叶うのが、ここ臼杵。
今回は、おすすめのサイクリングルートに沿って、町の魅力をたっぷりご紹介します!
ママチャリは無料!臼杵城跡を散策後、自転車をレンタル
まずは、戦国時代(1500年代)に中九州六カ国を支配したキリシタン大名・大友宗麟が築いた【臼杵城跡】を歩いて散策。3月下旬から4月中旬にかけては桜が満開になり、城と桜が織りなす絶景を楽しめます。
城跡を巡ったあとは、【臼杵市観光交流プラザ】へ移動し、自転車をレンタル。電動アシスト付の自転車(電は1日300円ですが、なんとママチャリは1日無料!せっかくなら自転車を活用して、臼杵の町を気ままに巡ってみましょう。今回は、電動アシスト付の自転車をレンタルします。
では、さっそくサイクリングスタートです!
江戸時代から変わらない石畳の城下町を*ポタリング
*ポタリング・・・自転車でゆったり走ること
第二次世界大戦下、臼杵市は大規模な爆撃を受けなかったため、江戸時代から続く城下町の風景が今も色濃く残っています。武家屋敷や寺院が立ち並ぶ【二王座歴史の道】をゆっくりと自転車で走ると、まるで江戸時代へタイムスリップしたかのような感覚に! 車だと入りづらい、城下町ならではの風情を肌で感じながら、歴史の息づく町並みをじっくりと味わいましょう。
1716年に開基された【旧真光寺】は、現在無料の休憩所として開放されており、1階・2階ともに自由に利用できます。当時の趣をそのまま残した内装がとても美しく、立ち寄る価値のあるスポットです。特におすすめなのは、急な階段を登った2階の部屋。障子を開けると、先ほど走ってきた石畳の道が目の前に広がります。2階から見下ろす城下町は、またひと味違う趣があり、臼杵の歴史の奥深さを実感できるでしょう。写真を撮ったり、静かな時間を楽しんだり…。気の向くままにゆっくりと、城下町の魅力を味わい尽くしましょう。
他に類を見ない臼杵独自の食文化を知る
続いては、臼杵独自の食文化に触れられる【カニ醤油】へ。 城下町の一角にある老舗醸造所で、臼杵ならではの発酵文化を知ることができるおすすめスポットです。
臼杵市は、2021年に「ユネスコ創造都市ネットワーク」(食文化分野)への加盟認定されました。これは、「発酵」「質素倹約」「有機農業」の3つが総合的に評価された結果です。特に「発酵」を代表するのが、味噌と醤油。 臼杵市は江戸時代から醤油の醸造が盛んな町として知られています。
なかでも、大分県最古の味噌醤油醸造メーカーカニ醤油の創業は、なんと1600年!400年以上の歴史を誇る老舗の味は、今も多くの人に愛され続けています。
臼杵では、住民それぞれに「私は〇〇の味噌を使っている」とお気に入りの「マイ味噌」があるほど、発酵食品が日常に根付いています。カニ醤油では試食もできるので、あなた好みの味を見つけてみませんか?
九州ならではの甘口醤油や、臼杵の伝統が詰まった「うすき味噌」は、お土産にもぴったり。発酵食品は、健康のためにも毎日取り入れたい食材のひとつ。ぜひ、臼杵で本物の発酵文化の魅力を体験してみましょう!
臼杵独自の食文化が味わえるランチスポットへ
臼杵の食文化をもっと深く知るために、おすすめのランチスポットへ向かいます。カニ醤油からすぐの場所にある「サーラ・デ・うすき」内のレストラン【ポルト蔵】は、 古い醤油蔵を改装した趣ある空間。ここでは、臼杵の伝統的な郷土料理を楽しむことができます。
特におすすめなのが、臼杵の郷土料理がセットになったポルト蔵ランチ。 江戸時代の質素倹約の精神が息づくこれらの料理は、現代の食生活にもぜひ取り入れたい、栄養豊富で健康的なメニューばかり。
城下町から臼杵石仏方面へ
城下町をゆっくり巡ってランチを済ませたら、県道33号線臼杵停車場線へ。臼杵の自然を楽しみながら1本道を20分ほど走り抜けます。この道すがらにある臼杵川沿いには、2月下旬から3月上旬にかけて、約1kmにも渡って河津桜が咲き誇ります。春に咲くソメイヨシノなどよりもピンクの色が濃く、春が近づいてきた!というワクワク感を感じさせるような、力強く華やかな美しさが特徴です。車だと一瞬で通り過ぎてしまうけど、自転車ならば、1kmにも渡って花見サイクリングが楽しめます。これぞ自転車旅の醍醐味ですよね!心地よい風を感じながら次の目的地へ向かいます。
洗練された美しいフォルムの臼杵焼に心を奪われる
到着したのは、臼杵焼の魅力を存分に堪能できる【うすき皿山】。
臼杵焼は、江戸時代後期に藩の御用窯として開窯されました。長崎の島原、福岡の小石原、宮崎の小峰から職人を招き、磁器や陶器を焼いていましたが、わずか10数年で衰退し、一度は途絶えてしまいます。しかし、約200年の時を経た2015年、地元の陶芸家の手によって見事に復活を遂げました。
菊や蓮など、日本の古典的なモチーフを用いながらも、どこか洋食器の雰囲気を感じさせる独特のデザイン。 その美しさが近年、海外でも人気を集めています。
うすき皿山では、本格的な型打ちや金継ぎの体験(要予約)ができるほか、工房の作業風景を見学することも可能。さらに、併設のギャラリーでは作品を購入することもできます。
また、臼杵焼の器で楽しむ本格中国茶と季節のお菓子が味わえるカフェもあり、雰囲気も抜群。サイクリングの途中でひと休みするのにもぴったりのスポットです。ぜひ立ち寄って、臼杵焼の魅力に触れてみてください。
国宝臼杵石仏で約1000年の昔に想いを馳せる
ギャラリー皿山の向かいに広がるのは、国宝【臼杵石仏】。
岩壁に刻まれた61体もの摩崖仏は、その美しさと規模の大きさから「日本最高級の摩崖仏」と称され、現在、すべてが国宝に指定されています。 大正時代に本格的な調査研究が始まりましたが、「いつ・誰が・何のために造ったのか」未だに解明されていない、神秘に包まれた存在。
ただ一つ確かなのは、約1000年もの間、地元の人々を静かに見守り続けてきたこと。 長い時を経てもなお、その穏やかで力強い表情は訪れる人々の心に深く響きます。
臼杵石仏では6つの簡単な質問に答えるだけで、今の自分の心境にぴったりな仏さまを診断できます。事前に診断して、マッチングした仏さまに会いに行くのもおすすめ!
もしかすると、あなたの「推し仏」が見つかるかも?!歴史や仏像に詳しくなくても、ガイドを通じて新しい視点が広がり、知的好奇心が満たされること間違いなし!
美肌の湯でサイクリングの疲れを癒しても!
さて、城下町へ戻る途中、温泉【うすき湯の里】があり、立ち寄り入浴が可能です。
美肌の湯とも称される良質な温泉で、サイクリングで頑張った身体をじんわりと癒してみるのもおすすめ。 湯に浸かれば、心も体もほぐれてリラックスできること間違いなしです。
また、ここには圧巻の70体もの黄金の仏像を祀る「大仏殿」もあります。その神秘的な光景は、訪れる人々を魅了すること間違いなし。
時間に余裕があれば、ぜひ立ち寄って、温泉と歴史、どちらも満喫してみてください。
臼杵はどの季節に行っても楽しい!
臼杵の自転車旅、いかがでしたか?
城下町から臼杵石仏までは、片道約6km。車ならあっという間に移動できますが、それではもったいない!自転車だからこそ出会える風景や発見が、臼杵にはたくさん詰まっています。
2月~3月にかけて開催される、「うすき雛めぐり」、3月下旬〜4月中旬は臼杵城跡の桜、4月末〜5月上旬には臼杵焼の蔵出し市、7月は石仏公園の蓮、7月中旬には臼杵夏祭り、11月下旬には白馬渓の紅葉と、一年を通して四季折々の美しい自然や、臼杵ならではの文化を楽しめます。
車では通り過ぎてしまう景色も、自転車ならじっくりと堪能できる。 のんびりと時間をかけて、臼杵の町を巡る旅をぜひ体験してみてください!
- PREV
- BACK TO LIST
-
NEXT